墨だしについて
みなさんこんにちは!建築部の新垣(仁)です。
9月も終盤となり暗くなる時間も早くなってきましたが、まだまだ暑い日は続くので油断せずにしっかりと水分補給、熱中症対策を忘れずに頑張っていきましょう!
今回僕が紹介するのは墨出しについてです。
「墨出し」とは、建築や土木工事を行う際に、施工図の情報を現場に記す作業のことをいいます。
その名の通り、墨を使って線や寸法を書き出すことから名付けられました。
図面の情報を書き出すというと、「建物を建てる前に設計図を原寸大で現場に写し出す」というイメージを思い浮かべるかもしれません。
しかし実際には、敷地の測量から基礎工事、躯体工事、仕上げ工事、そして配管や電気工事に至るまで、工事の着工から竣工までのあらゆる工程で墨出しは行われています。
では次は実際にどのような順序で行われているか見ていきましょう!
その前に墨出しで使われている道具などを見てみましょう
墨つぼ
墨つぼは材料の凹凸と関係なくまっすぐに線を引くための道具です。
墨を吸い込んだ綿が収納されていて、そこに糸を通して糸を黒くしておきます。
黒くなった糸を引っ張り出してはじくことで直線を弾きます。
墨差し
墨汁で水平や垂直の直線を引く道具です。
棒状の道具で、一方の先端がへらのような形で、もう一方の先端がペンのような形になっています。
チョークライン
墨つぼと同じく直線を引く道具です。
墨ではなく粉チョークを使用するので、もし間違えた線を引いてしまっても修正可能です。
下げ振り器
おもりを糸にぶら下げて、垂直かどうかを確認する道具で柱の垂直を確認するときなどに利用する道具です。
測量機器(セオドライト、トータルステーション)
墨出しで主に使用される測量機器はセオドライトとトータルステーションの2つです。
セオドライトは角度を測る機器で、高度角や水平角などを測ります。
トータルステーションは角度と距離を一気に測れる機器です。
以前はレーザー距離機とセオドライトの2つを使って角度と距離を測っていましたが、トータルステーションの登場により、同時に計測できるようになりました。
レーザー墨出し器
墨出し道具として忘れてはならないのがレーザー墨出し器です。
壁や天井などに直角・水平の線を映し出してくれるとても便利な道具です。
ある程度、自動で水平に調整してくれるため手間が減ります。
レーザー墨出し器の普及のおかげで、一人でも墨出しの作業ができるようになりました。
墨出しに使う色々な道具がわかったところで続いて墨出しの順序を説明します。
墨出しの手順
- 図面から寸法を読み取る
- 図面の寸法通りに印を出す
- 鉛筆や建築用のシャープペンで両端に小さく印をつける
- 両端の印を墨つぼやチョークラインを使用して墨を打つ
- 一人が先端を持って片方が墨つぼ本体を持つ
- 糸を持ち上げ弓のように弾くことで一瞬で線が出る
大きく分けてこの6つが墨出しの順序になります。
各順序で気をつけなければいけないことを説明します。
- 図面から寸法を読み取る
図面から寸法を読み取る際に気をつけることは、単純に計算ミスをしないことや
線を見間違えないことです。
- 図面の寸法通りに印を出す
印を出す際、レーザーやトランシットといった機械を使用するのですがこの機械をセットする際に水平や垂直を確実に取りセットすることです。
- 鉛筆や建築用のシャープペンで両端に小さく印をつける
基本的にホルダーと呼ばれるペンタイプの赤鉛筆で印をつけるのですが赤鉛筆の先の方が
尖っていないと線が大きくなってしまいぶれてしまうので印をつける前にしっかりと削りましょう
- 両端の印を墨つぼやチョークラインを使用して墨を打つ
墨を出す際気をつけることは先につけた印にしっかりと墨つぼの糸を合わせることです
- 両端の印を墨つぼやチョークラインを使用して墨を打つ
この時に糸がピンと張るようにしっかりと引っ張りましょう
- 糸を持ち上げ弓のように弾くことで一瞬で線が出る
糸を持ち上げる際に押さえている糸がずれないように気をつけましょう
この作業を終えて墨出しが完了します。
墨出しはいっけん地味に見えるかもしれませんが墨がずれてしまうと建物が歪んでしまったりなど重大なことに繋がるとても重要な作業です。
墨出し作業がある際は確認作業を忘れずにきれいな建物を作りましょう!
以上新垣(仁)でした!