日射と日照 – 株式会社東恩納組

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2024年8月9日建築部

日射と日照

皆さんこんにちは!建築部新垣(仁)です。
8月となり暑い日が続いてますが熱中症に気をつけてお仕事頑張っていきましょう!

今回は、前回に引き続き一級建築施工の問題から抽出して書きたいと思います。

さて、過ぎた7月21日にあった一級建築施工、一次試験みなさんの結果はいかがだったでしょうか。
僕はというと、自己採点の結果なんとあと一点足りず落ちてしまいました。
何かの間違いで合格通知がこれば良いなと毎日祈るばかりです。

この辺で本題に入っていきます。
今回は日照、日射について説明していきます。

日照とは

地面や建築物などが一定期間を通じて直射日光で照らされる状況。

日射とは

太陽放射によって照らされること。

今、日射と日照について説明しましたがこの2つの違いは簡単に日照は太陽光のこと、日射は太陽熱のことと考えて問題ないです。

 

次に季節によって変わる日照、日射について話します。

夏の太陽は空の高い位置に見え、冬は低く見えるように、地球から見た太陽の通り道は季節によって違います。
太陽が真南に到達したときの太陽高度(角度)のことを「南中高度」といいますが、 夏至は1年の中でもっとも南中高度が高くなり、冬至は1年の中でもっとも南中高度が低くなります。
ちなみに東京の夏至の南中高度は78°、冬至は30°程度です。

このように、季節によって太陽の角度が変わるので日照と日射をコントロールすることが大事です。

住まいでは、夏は涼しく冬は暖かく過ごしたいものです。
その願いはおそらく今も昔も同じでしょう。昔ながらの日本家屋は、軒やケラバの出を長く(深く)することで、夏と冬の日照、日射をコントロールし、 同時に雨や風を凌いでいました。
夏の太陽の位置は高いので、深い軒で日照、日射を遮ります。
反対に冬の太陽は低いので、軒が深くても部屋の奥まで日照、日射を取り込むことができます。

近年では、昔ながらの軒の深い住宅は少なくなりました。
その要因は、軒の出が短ければ屋根の面積も狭くなるので、コスト削減になる。建築面積を大きく取ることができる。デザイン的に洗練された感じがするなどからです。

現代の建築は、材料、様式も多種多様となり、デザインの自由度も高くなりました。軒の出が短いどころか、屋根と壁が一体となって軒の出がゼロという住宅もあります。
今と昔の住宅の単純な比較はできませんが、日射、日照、雨、紫外線を遮る、外壁の保護などの観点では、昔ながらの軒の深い住宅の方が理想的です。
特に夏の日照、日射を遮る目的なら、軒の出は90cm程度必要ですが、現実的にはコストやさまざまな事情を考慮して、軒の出に折り合いをつけます。

建物と一体となった軒、ケラバ、庇(ひさし)の出を後で変更するのは大変なことです。
リフォームなどで比較的安価に窓からの日照、日射をコントロールしたいなら、後付けの庇(ひさし)を取り付ける方法もありますし、オーニング、ルーバー、外付けブラインド、すだれ、よしずを取り付けるなども有効です。
また、家庭菜園を兼ねて、ゴーヤ、インゲン、トマト、キュウリなどを植えて壁面を緑化する。敷地に余裕があれば、夏に葉を付け、冬に葉を落とす落葉樹を植えるなども日照、日射をコントロールする手段の一つです。

 

他にも例えば、Low-Eガラスを使うなど、窓ガラス自体を遮蔽効果が高いものにする方法もあります。
Low-Eガラスとは、特殊な金属膜をコーティングした複層ガラスです。 室内から見た採光や透明感に違和感がなく、日射熱が抑えられるので、夏場の冷房負荷の軽減に効果を発揮します。

また、複層化による断熱性も兼ね備えているので、冬の暖房負荷も軽減できます。

 

今回はこの辺にして、最後に一級建築施工の過去問から問題を出したいと思います。

日照及び日射に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1 北緯35°における南面の垂直壁面の可照時間は、夏至日より冬至日のほうが長い。
2 日影規制は、中高層建築物が敷地境界線から一定の距離を超える範囲に生じさせる、冬至日における日影の時間を制限している。
3 水平ルーバーは東西面の日射を遮るのに効果があり、縦ルーバーは南面の日射を遮るのに効果がある。
4 全天日射は、直達日射と天空日射を合計したものである。

 

 

 

 

 

正解は3です。

 

解説

水平ルーバーは主に南面の日射を遮るのに効果があり、縦ルーバーは東西面の日射を遮るのに効果があります。

 

今回はここまで、また次回一級建築施工から問題を出したいと思います。