あと施工アンカーの施工(金属系アンカー) – 株式会社東恩納組

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2023年1月11日建築部

あと施工アンカーの施工(金属系アンカー)

皆さんこんにちは!
建築部玉城です。

最近は夜・朝寒く昼間は日差しで暑いと寒暖の差が出てきています。
又、インフルエンザの季節でもありますので体調管理・感染症対策もしっかりしていきたいですね。

さて、今回も前回に引き続きあと施工アンカーについて書いていきたいと思います。
今回は施工方法(施工手順)、施工時の注意点、金属系アンカーの種類について触れていきますよ。

はじめに金属系アンカーの種類について触れていこうと思います!

まず、金属系アンカーの分類ですが金属拡張アンカーとその他の金属アンカーに二分されます。
金属拡張アンカーはさらに細分化されその他の金属アンカーはドリルであけたストレートな穴にテーパ状もしくは円柱状に拡大孔を作るアンダーカットアンカーがあります。

そして金属拡張アンカーはさらに細分化されハンマーなどで打ち込む打ち込み方式とトルクレンチでの回転・締付る締付方式に分かれます。
分類としては下図の通りです

打込み方式は拡張子打込み型と拡張部打込み型がありますが名前だけだとよくわかりませんよね?
それをかりやすくするとこうなります

拡張子打込み型
アンカーを拡張「させる為の物」を打込むアンカー

拡張部打込み型
アンカーを拡張「する為の物」を打込むアンカー

こう言いかえればどこが何で広がるのかがわかるので施工時に注意しやすくなると思います。

参考にいくつか特徴を並べていきます

芯棒打込み式
こちらはみなさんもよく見るアンカーで芯棒が飛び出しておりその芯棒を打込むことで
本体の拡張部を広げるアンカーになります。
目視で施工完了がわかりやすいアンカーですね。
打ち込み方式ではこのアンカーのみ孔底で反力を受けず取付面と施工面で力を受ける為、穿孔深さが所定の必要深さ以上あればよいとなっています
しかし深さが足りていない場合は十分な固着力が得られないため注意が必要ですね。
使用用途としては主に下方向または横方向に使われます
(椅子、手摺、床支持金具、消火設備など)

内部コーン打込み式

内部コーン打込み式はアンカー本体の内部に入っているコーンを専用打ち込み棒で打ち込むことにより本体を拡張させるアンカーです。

このタイプはボルトの選択が自由の為取付物に応じて選択することができます。
こちらは天井および横方向での使用が主になります。
(配管、天井吊り、ダクト、照明器具等)

本体打込み式
本体打込み式はストレートの本体を専用打ち込み棒を用いて打込むことで内部のコーンに沿ってスリーブが拡張するものになります。
こちらも内部コーン式と同じくボルトの選択が自由で取付物によって自由に選択できます。
挿入時に強くたたきすぎてしまわないように注意が必要ですね。

主な使用用途も内部コーン打込み式とほぼ同じになっています

スリーブ打込み式
こちらはテーパ付きのボルトとストレートのスリーブを組み合わせたものになっていて
スリーブを打込むことによってスリーブの拡張部がテーパに沿って広がることで固定されるアンカーです

ウェッジ式
ウェッジ式アンカーはナットを締め上げることでテーパがついたボルトを引き上げウェッジ部分を平行に拡張するアンカーです。
トルクレンチを用いて決められたトルク値で締め上げるものになっています。
締付け方式アンカーの穿孔深さは決められた指定値以上あればいいものとなっています。

次に金属系アンカー施工手順・施工時の注意です。
施工手順は下の図のようになります。

1.準備

どのアンカーを使用するのか
金属系アンカーにも種類があり向き不向きがある為施工によってどのアンカーを使用するかを検討します

ドリルは何が適しているか
アンカーの下穴を穿孔する際にアンカーの種類・本数・孔の大きさに適したドリルを削岩機・振動ドリル・ハンマードリル・ダイヤモンドコアドリルより選定します。
(欧米製ドリルの場合規格が違うものがある為、日本製と混同しないように注意が必要)

作業状況に適した清掃道具
清掃にはブロワー・ダストポンプ・ワイヤブラシ・集塵機等を用いますが、ブロワー使用時は粉塵が舞うため健康被害を考慮して主にワイヤブラシと集塵機が用いられます。

測定器具
穿孔深さを確認するためのノギスやマーキング・墨出しに使うスケール、巻尺、差し金など

アンカーに対してハンマーは適切であるか
径の大きさによって適切な重量がある為、施工するアンカーに対して適切なものを使用します

準備では上記の点を確認していきます。

2.墨出し

どこを基準にするかで位置が変わってきますので基準の位置、距離、本数など墨出し位置を確認していきます

3.ドリルへのマーキング
マーキングはとても重要
アンカーによって所定の埋め込み長さが決められており、金属拡張アンカーには穿孔深さが所定以上あればいいアンカーと所定の穿孔深さを開けなくてはならないアンカーがあります。
所定の埋め込み長さを確保するためにコンクリートドリルへ直接マジックやテープなどを貼り付けマーキングを行います。

又、マーキングの位置ですがビット先端の三角部分を除き肩部分から計測をする必要がある為要注意ですね。

 

コンクリートの穿孔は主に手持ち機械での作業になる為コンクリート面に対して直角になるように施工します。
傾いてしまうと締付アンカーの場合ナットやボルトが緩む原因になってしまいます。
又、穿孔中に鉄筋などに当たってしまった場合等でその位置に開けられない場合は違う位置に開けたり斜めに開けたりの方法がありますが斜めに開ける場合は15度以内、元の孔から離す場合は所定の埋め込み長さ以上離す、近くに開ける場合は鉄筋や障害物に干渉した深さに所定の埋め込み長さをプラスした深さを開けなければいけない等どちらにも注意点がある為気を付けなければいけません。

4.孔内清掃・穿孔深さの確認

孔をあけた後に孔の周りの切粉を除去しその後孔の内部・側面についた切粉を取り除いていきます。
この際に側面・孔底に切粉が残らない様にワイヤブラシやダストポンプなどを用いて綺麗にしていきます。

 

こちらも施工するうえで大事な部分になり、もともとあと施工アンカーは先付アンカーより固着力が弱くなっており決められた施工方法を守って施工することで固着力を得ている為深さ・孔の状態はしっかりと見なければいけません。

例えば切粉が孔底に残っていた場合、打ち込み式のアンカーを施工した際残った切粉がクッション材となってしまい拡張部が完全に広がらず十分な固着力を得られなくなってしまいます。
又、接着系アンカーの場合はダイヤモンドコアドリルで穿孔した場合孔の側面がつるつるになっている為十分な接着力を得るためには孔の側面に傷をつけるなどをしなければいけないことになります。

5.アンカーの挿入

穿孔した孔は穿孔時の振動やブレなどで側面が凹凸状になっており、そのため真円ではありません。
穿孔深さが深い場合や締付方式のアンカーの場合回り止めがアンカー本体についている為入りにくい場合があります。

その場合はハンマー等で軽くたたき挿入します。
しかしアンカーの種類によってはハンマーで叩いてしまうと施工不良の原因になるものがあり

専用打ち込み棒を用いる場合があるので施工時にこの点もしっかりと確認する必要があります。

最後に施工が終わりましたら施工に問題がないかを自主検査していきます。
金属製アンカーの場合は主に目視での検査になり、
確認の方法としては打ち込み位置まで打ち込めているかどうか、打ち込み時の感覚は問題ないか、締付トルク値は規定値であるか、

ボルト・ナットはしっかり締め付けられているかを確認します。

以上が金属系アンカーの施工についてになります

一番忘れやすい・まとめてやる等でさぼりがちな孔内清掃ですが
「切粉を取る」ではなく「先に上の切粉をとってから孔内の切粉を取る」の書き方からわかる通り
手順一つ一つに大事な意味があり
それぞれが施工不良などを起こさない工夫であるのがよくわかります。

細かい部分ほど大事であると今回改めて感じましたのでこれを機にまたより一層作業一つ一つ丁寧に取り組んで頑張っていきます。

以上、
建築部玉城でした