ボイドスラブについて
皆さんこんにちは!
建築部の小橋川です。
今回はボイドスラブについて書いていこうと思います。
ボイドスラブ(Hollow Core Slab)とは?

• コンクリート床内部に空洞(ボイド)を設けたスラブのことで自重を減らしつつ、必要な強度を確保する工法のことです。
主に中高層マンション・オフィス・学校など幅広い建物で利用されています。
● 図:基本イメージ
↓上部コンクリート層(圧縮側)
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○ ○ ○ ○ ○ ← ボイド(空洞)
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↑下部コンクリート層(引張側・鉄筋)
なぜボイドを入れる?(仕組み)
なぜわざわざスラブのコンクリートスラブに空洞(ボイド)を設けるのか
というとスラブ中央部は応力が小さくその部分を空洞化しても強度は落ちにくい
ためコンクリート量削減による自重 15〜25%軽減、剛性向上 → 大スパン化
空洞が断熱・遮音に寄与と利点が多いためです!
● 図:応力と空洞の関係
上部:圧縮大 ███████←上部コンクリート
中央:応力小 ○ ○ ○ ○ ←空洞(ボイド)
下部:引張+鉄筋 ███████←下部コンクリート
種類
① 現場打ちボイドスラブ(RC)
• 型枠内にボイド材を設置して打設 • 自由度が高い(形状カスタム可)
② プレキャストボイドスラブ(PC)
• 工場で製作 → 現場に搬入 → クレーン架設 • 高精度・高品質 • 工期短縮
施工方法(現場打ち)
● 流れ
1. 型枠設置 2. ボイド材の固定 3. 上下鉄筋を配筋 4. コンクリート打設(2層の充填管理が重要) 5. 養生・脱型
施工方法(PC)
● 流れ
1. 工場で空洞入りスラブを製造 2. 搬入 3. クレーンで吊り込み 4. スラブ同士の継手を一体化(現場打ち部の管理が重要)
配管計画の注意点
NG項目
• ボイド部分へのスリーブ貫通 • 大径配管の無計画な貫通
OK項目
• ボイドを避けて梁側に移動 • 二重床+床内配管 • BIM による事前干渉チェック
施工注意点
• ボイド材の固定不良 → 浮上・破損のリスク • 打設コンクリートの流動性管理(2層打ち)
• 音響・振動の計算が必要な用途あり • 火災時の温度評価に注意
長所
① 自重軽減 → 構造が有利 ② コンクリート量削減 → コスト減 ③ 大スパン(広い空間)を実現
④ 断熱・遮音性能が向上 ⑤ PC工法で工期短縮・高品質化
● 図:大スパン化
通常: [柱]──[柱]──[柱]
ボイド: [柱]─────────[柱]
短所
• スリーブ貫通の自由度が低い • スラブ厚が厚くなりがち
• 振動特性が変化(用途により注意) • 現場打ちは施工精度に依存 • PC は初期コスト・搬入条件が必要
初心者でもわかる超やさしい説明
• 床の中に「スカスカの空洞」を作ったコンクリート • 必要なところだけコンクリートがあり、ムダをなくす
• 軽い → 地震に強い • 断熱・遮音も良い • 工事も早くてコストも下がりやすい
→ “頭のいい床” と思えばOK!
◆技術者向けポイント
• 剛性:T梁効果 → たわみ管理に有利 • 火災:空洞部の温度上昇挙動を考慮
• 配管:BIM モデルでボイド位置を固定管理 • PC版:プレストレスでひび割れ抑制
• 振動:固有振動数 3〜8 Hz 用途要注意(体育館・事務所) • 施工管理:ボイド材の固定が最重要
まとめ
• ボイドスラブは 軽量×高剛性×省コスト のバランスが良いスラブ • 中高層で採用増加
• ただし「設備配管」「施工精度」「振動」の3つが要点 • PC と現場打ちの併用でコスト最適化も可能
今回はここまでとします。
以上小橋川でした!













































