毎日急行物流倉庫新築工事(造成)より
みなさん、こんにちは。建築部の当銘です。
暑い夏がやってきましたね。
土木の現場は炎天下ですので、熱中症に気を付けながら日々過ごしています。
先日ニュースで、コロナによる発熱と熱中症による発熱は判断が難しいと聞きました。
ダブルパンチは避けたいですね。
みなさんも、コロナと熱中症の両方に気を付けましょう。
では、ブログの内容に入っていきます。
今回お話しする内容は、伸縮目地についてです。
目地というと、上にあるようなタイルやレンガなどの隙間・継ぎ目を思い浮かべる人が多いかと思いますが、目地にも種類があります。
今回お話しする伸縮目地は、護岸やダム、擁壁などの大きなコンクリートの構造物に設けられる目地です。
どこに設けるかというと、コンクリートとコンクリートの間。
下の左図だと真ん中の斜線部分、右図だと真ん中の黒い部分です。
伸縮目地の役目は、ひび割れによる躯体の損傷を防ぐこと。
そもそも、なぜひび割れが起きるのか。
ひび割れの原因は、ひび割れが起きる時期によって様々ですが、「コンクリートの温度変化によるもの」「コンクリートの乾燥収縮によるもの」「コンクリートの沈下・ブリーディング水によるもの」「型枠のはらみ・支保工の沈下よるもの」「不同沈下によるもの」「地震などによる大きな振動によるもの」などがあげられます。その中から、伸縮目地と関わるひび割れについて少し説明します。その前に、コンクリートの性質をあげておきます。
「温度変化によるひび割れ」
コンクリートの温度変化は、コンクリートの打設直後から始まり、数週間~数ヶ月にわたります。コンクリートは、「水和反応」というセメントと水の化学反応によって硬化し、この水和反応により発生する熱を「水和熱」といいます。コンクリートの硬化とともに水和熱の温度は上昇し(大体80~100℃程度)、膨張します。水和熱の温度が最大限まで上昇すると、今度は外気温程度まで温度が降下し、収縮します。このとき、既設のコンクリートとくっついていると、収縮するコンクリートは既設のコンクリートに拘束され、内部では引張応力が強く発生します(収縮に抵抗する力)。コンクリートは引張にとても弱いので、この引張応力がコンクリートの引張強度を超えるとひび割れが起きてしまいます。
「乾燥収縮によるひび割れ」
コンクリート打設後、コンクリートに含まれる水分は時間が経つにつれて蒸発し、乾燥します。水分が蒸発した分、コンクリートの体積は減少し、収縮しますが、このとき、温度変化によるひび割れと同じように、収縮が拘束されると、コンクリート内部に強い引張力が発生し、ひび割れが起きてしまいます。
これらのひび割れを防ぐ方法として、伸縮しやすい素材の目地をコンクリートとコンクリートの間に入れる工法があります。そうすることで、伸縮目地材がコンクリートの膨張・収縮する力を吸収し、力を分散させ、ひび割れを防ぐことができます。
伸縮目地に用いられる主な目地材は、「エラスタイト」というアスファルト系伸縮目地材です。
エラスタイトの特性
①適度な圧縮応力、②均一な材質、③優れた耐薬性、耐蝕・耐侯性、④作業性良好
一方で、復元性に弱く、場合によっては表面にはみ出してくる可能性があることから、エラスタイトの特性を生かしつつ、そこを補った「ケンタイト」という伸縮目地材もあります。
ケンタイトの特性
①高い復元性、②十分な圧縮強度、③はみ出しなし、④半剛性のため作業性UP、⑤保存中の変形なし
エラスタイト、ケンタイトの形状
両方とも1m×1mの1㎡で、厚みは10mmからあり、メーカーによって異なるようです。
取付方法
用途に適したサイズにカットし、コンクリート用のビスや釘で固定。コンクリートと隙間なくしっかり固定することがポイントです。
現場での施工例
打設前
擁壁のたて壁の形に合わせて伸縮目地材をカットし、コンクリート用の釘で固定。
打設・脱型後
奥のコンクリートと手前のコンクリートの間に伸縮目地材が入っています。
今回はここまでとさせて頂きます。以上、建築部 当銘でした。