遣り方について
皆さんこんにちは!
建築部の新垣です。
最近梅雨の影響で雨の日が多くなってきましたね。雨に濡れ風邪をひかないように体調管理に気を付けて
頑張っていきましょう。
さて今回私が紹介するのは「遣り方」についてです。
現在私が配属されている現場で若手の社員を中心とした遣り方の講習会が行われました。
それで今回は、遣り方の順序を説明していきたいと思います。
その前に、「遣り方」とは工事の前に建物の正確な位置を出す作業のことです。
全ての工事はこの「遣り方」を基準にしますので繊細さが要求されるとても重要な作業になっております。
1.境界線を明確にする
遣り方(やり方)の1ステップは、工事を行う敷地とそれ以外の境界線を明確にすることです。境界線は、基礎工事の仕上がりよりひと回り大きい外周が目安となります。
明確な境界線が確認できたら、境界に杭を打込んでいきます。前述したように、道路や隣家へはみ出すと敷地境界線を超えてしまいます。距離と角度を確認し、図面と食い違いがある場合は、中断して原因をはっきりさせなければなりません。
2.建物の位置を確定させる
敷地の境界線が確定したら、これから建てようとする建物の位置(建設予定地)を、地縄を張ることで確定させます。地縄とは、地面の近くに縄を張ることですが、実際はロープやビニール紐を用いることが多いです。
具体的には、1点の基準点から2点の基準点を出し、その2点を結んで4つ目の基準点を見つけ、建物を囲う角を直角にあらわします。
なお、施主は地縄を見ることで、初めて部屋や窓の位置を具体的にイメージすることが可能となりますから、敷地内の石や異物はこの段階できれいに取り除いておきましょう。
3.高さの基準を確定させる
建物の位置が確定したら、現場内の杭や近場の固定物を目印にして、GL(グランドライン)と呼ばれる「基準となる地面の高さ」を確定させます。このときに使う目印をBM(ベンチマーク)といいます。マンホールがあればBMに最適です。ちなみに、GLは土地の水はけや周囲の道路状況などによります。
続いて、杭と杭の間に貫(ぬき)、または水貫(みずぬき)と呼ばれる薄板を水平に張り付け、「基準となる基礎工事の高さ」を決めます。基礎工事の仕上がりから10cm程度高めに設置するのがポイントです。
最後に杭と水貫が動いたり横揺れしたりしないよう、斜めに筋交い貫(すじかいぬき)を打ち付けて固定します。
4.墨出しを行って水糸を張る
水平、平行、角度、高さ、距離などが確定したら、墨出し(墨付けともいう)を行います。職人は墨出しされた表示通りに作業を開始しますから、非常に大切な工程です。線を引くには墨つぼ、チョーク、墨差しなどを使用します。
墨出しは、まず図面上の指示ポイントに印を付け、そこから平行もしくは垂直に、壁や柱の基準点を墨打ちして互いを結んでいきます。順番は、下の階から上の階です。
例えば、通り芯は工事が進むと見えなくなるので、一定の距離を空けて逃げ墨(またはかえり墨)という墨を打ちます。他にも、床は地墨、天井の高さは陸墨(ろくずみ)など、場所によってさまざまな呼称があります。
上記の作業が終わったら、墨で印をつけた対角線上に水糸を張り、縦横が直角に交わることを確認しましょう。
5.矩出しを行う
矩出し(かねだし)とは、建物のひと回り外周に張った薄板の水糸から、それぞれの交点の対角を測り、直角を出すことです。「矩を確かめる」ともいいます。直角になっていない場合は、トランシット、大曲、矩出し専用巻き尺などの測定機器を用いて、縦墨の位置の微調整を行い、間違いなく直角に定めます。
6.高さを確認する
いよいよ遣り方(やり方)の最終段階です。張り巡らされた水糸で、建物の位置と高さ、特にBMからGLを再確認します。基礎工事の基準の高さとなりますから、目視ではなく図面を見ながら、測定機器を用いて丁寧に確かめてください。
今回はここで以上となります。
先ほども言いましたように、遣り方は建物の位置を決めるとても重要な作業になっていますので皆さんも遣り方をする際は確認作業をしっかりとし、間違いのないようにしていきましょう。