梁貫通補強筋の役割
皆さんこんにちは、建築部の玉城です。
最近はまた台風の情報がちらちらと目に留まるようになりました。
また、台風ではなくても急な突風や強風の日も増えてきた印象があるのでこの機会に身の回りに飛んでいきそうなものが無いか確認してみるのもいいかもしれませんね。
さて、今私が従事している工事現場では基礎工事が始まっています。
基礎工事は建物の大事な工事なのでより一層気を付けて作業を進めていきたいです。
今現在基礎工事で基礎梁の配筋を行っております。
その中で電気・設備の配線や配管を通すための孔(スリーブ)を設置していてその際に梁貫通補強筋を使用しています。
なので今回は梁貫通補強筋について簡単にわかりやすく説明していきたいと思います。
【梁に穴をあけても大丈夫?】梁貫通補強筋の役割
建物の中には、水道の配管や電気のケーブル、エアコンのダクトなど、いろんな設備が通っています。
でも勾配等の条件もありすべての配管やケーブルを梁の下を通すことは難しく、その通り道をつくるために「梁(はり)」に穴をあけることがあるんです。
梁は建物を支えるとても大事な部分。そこに穴をあけるなんて「大丈夫なの?」と思いますよね。
そんなときに頼りになるのが 梁貫通補強筋(はりかんつうほきょうきん) です。
◆ なぜ梁に穴をあけるの?
建物の中では、上下左右にたくさんの配管や配線が走ります。
梁を全部避けて配管を通すのは難しいし、無理に迂回するとスペースの無駄にもなります。
だから必要なところでは梁に「開口(穴)」をつくって配管を通すんです。
◆ 穴をあけるとどうなる?
梁は建物の骨のようなもの。
そこに穴をあけると、梁の力が弱くなってしまい、
- ひび割れ
- たわみ(しなり)
- 建物全体の強度低下
といった不具合につながる可能性があります。
つまり「ただ穴をあけただけ」では危ないんです。
◆ 梁貫通補強筋って何?
そこで登場するのが 梁貫通補強筋。
これは、梁に開口をあけた部分のまわりを鉄筋で補強して、穴をあけても梁の強さを保つためのものです。
イメージでいうと「穴のまわりを支えるフレーム」や「筋肉のサポーター」のような役割を持っています。
上の写真のように穴の周りを囲うようにして使います。
◆ どうやって使うの?
- 設計で「ここに配管を通す」と決める
- 開口まわりに、専用の鉄筋(補強筋)を組み込む
- コンクリートを打ち込むと、補強筋も一体化して梁を守る
こうすることで、穴をあけても梁がしっかりと力を発揮できるようになります。
◆ なぜ必要なのか?
梁貫通補強筋の役割を簡単にまとめると…
- 建物の安全を守る
- 配管や配線をスムーズに通す
- すでに組まれているユニット製品なので工事を効率よく進められる
まさに「縁の下の力持ち」ならぬ「梁の中の力持ち」なんです。
◆ まとめ
梁に穴をあけると聞くと不安に思うかもしれませんが、
梁貫通補強筋のおかげで建物の強さはしっかり確保されています。
普段は見えない場所にありますが、私たちが安心して暮らせるのは、
こうした補強の工夫があるからなんです。
工事現場の裏側には、まだまだ知られていない工夫がいっぱい。
ちょっとした知識を知ると、建物の見方が変わってきて建築がぐっと身近に感じられると思いますので気になることがあれば調べてみてください。
以上、建築部玉城でした。