軟弱地盤を支える技術:マットレス工法の基礎知識
皆さんこんにちは、建築部玉城です。
最近は日が出ているうちは暑いけど日が沈むと冷え込んだりと気温の差が大きくなっています。
又冬場のこの時期は感染症等も流行り出すので寒暖差の対策や手洗いうがいなどをしっかりして体調面には気を付けて過ごしていきたいですね!
さて、今現在私が携わっている現場では擁壁を施工するにあたって擁壁の下にマットレス工法という軟弱地盤の補強する地盤改良を行っています。
今回はそのマットレス工法を簡単に説明していきたいと思います。
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軟弱地盤を支える技術:マットレス工法の基礎知識
はじめに
建設現場で「地盤が軟弱で構造物を支えられない」という課題に直面したことはありませんか?今回は、そんな軟弱地盤対策として注目されている「マットレス工法」について、基礎から実践的なポイントまで解説します。
マットレス工法とは?
マットレス工法は、地盤の上に砕石やジオテキスタイルなどの補強材を層状に敷き詰め、荷重を分散させる工法です。**文字通り「地盤にマットレスを敷いて支える」**ようなイメージで、従来の砕石置換工法よりも浅い改良深度で施工できるのが特徴です。
荷重を広い範囲に伝えることで、不等沈下を抑え、構造物の安定性を高めることができます。主に擁壁基礎、道路盛土、河川堤防などで活用されています。

使用する材料と形態
主な材料
- ジオテキスタイル(織布・不織布):合成繊維製のシート
- ジオセル:蜂の巣状(ハニカム構造)のセル
- ジオグリッド:格子状の補強材
- 砕石:荷重分散用の骨材

左からジオグリッド、ジオセル、ジオテキスタイル
3つの形態
- 平張り型:ジオテキスタイルの上に砕石を載せる最もシンプルな形式
- 成形型:ジオセルの中に砕石を詰める構造で、拘束効果が高い
- 充填型:プレハブ型ユニットを並べる方式
地盤条件や構造物の形状に応じて、これらを使い分けます
補強のメカニズム
マットレス工法が地盤を強化できる理由は、3つのメカニズムが組み合わさっているからです。
①応力分散効果
上からの荷重を広い範囲に伝達します。集中荷重を面的に分散させることで、局所的な沈下を防ぎます。
②拘束効果
砕石の側方(横方向)への流動を抑制します。ジオセルやジオグリッドが砕石を囲い込むことで、せん断抵抗が増加します。
③引張補強効果
ジオテキスタイルの引張力で地盤全体の支持力を高めます。シートが引っ張り力を負担することで、地盤の変形を抑えます。
実証データによると、無補強地盤と比較して最大で約3倍の支持力向上が確認されています。

設計で押さえるべき3つのポイント
- 粒度分布と透水性
砕石の粒度分布(石の大きさのバランス)が重要です。大小が混ざりすぎると水抜けが悪くなり、補強効果が低下します。
透水性は地盤の安定性に直結します。水が抜けにくいと地盤が軟化するため、排水設計は必須です。目詰まり対策も忘れずに。
- 定着長さ
定着長さとは、補強材が地盤にしっかり「つかまる」ために必要な長さです。引張力と地盤の摩擦力のバランスから算定しますが、実務的には最低でも1.0〜1.5mの定着長を確保することが一般的です。
- 敷設間隔
補強層をどの間隔で設けるかは、応力分布の解析(FEM解析やスライス法)に基づいて決定します。基本的な考え方は:
- 上層:荷重が集中するため間隔を狭く(例:300mm)
- 中層:やや広げる(例:400mm)
- 下層:最も広く配置(例:500mm)
一般的には30〜50cm間隔で敷設することが多いです。
施工の流れ
- 地盤整正・転圧:基礎となる地盤を平滑に整え、転圧します
- ジオテキスタイル/ジオセル敷設:端部処理、重ね代、しわ防止がポイント
- 砕石投入・均し:まき出し厚は通常200〜300mm/層
- 転圧:小型振動ローラーやプレートで3〜5回往復(ジオセル上は直接走行しない)
- 表層仕上げ:品質管理として厚さ・転圧回数を記録
施工管理では、試験施工を行い、締固め密度・支持力を確認して仕様を決定することが重要です。

実際の効果
実験データでは、無補強地盤は早い段階で沈下が進行し破壊するのに対し、マットレス工法では:
- 沈下が緩やか
- 最大支持力が約3倍に向上
- 分散角度35度以上で沈下抑制効果が顕著
ジオセルのサイズや段数を増やすことで、さらに安定性が向上することも確認されています。
適用事例
河川護岸
吸出し防止対策として採用。水圧による地盤の流出を防ぎます。
擁壁基礎
軟弱地盤上の擁壁工事で、杭基礎の代替や補助工法として有効です。コスト・工期を抑えながら沈下を防ぐことができます。
道路盛土
不等沈下による路面のひび割れや段差を抑制します。
まとめ:成功のための3つのポイント
マットレス工法は、浅層の補強で大きな支持力改善が得られる優れた工法です。実務で成功させるために押さえるべきポイントは:
- 適切な地盤調査:土質や地下水位の把握が設計の前提
- 解析に基づく設計:定着長・敷設間隔を理論的に算定
- 試験施工による確認:転圧仕様を現場で最適化
これらを確実に実施することで、軟弱地盤でも安定した構造物の構築が可能になります。
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以上がマットレス工法についてまとめたものになります。
日常生活の中に使われている身近な原理が実はこういったところにも使われていて調べてみると意外にも面白いことがいっぱいあります。
皆さんも身近なものの原理について調べてみるてください。意外な発見があって面白いかもしれませんよ?
以上、建築部玉城でした。













































