地震に耐えるにはどうやるの? ~二次設計編~
こんにちは!建築部の新城です!
前回に引き続き今回も耐震設計について書いていきます!
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前回書いた一次設計は全ての建物に適用され、それぞれの計算を行い条件を満たした後に二次設計を行います。
二次設計はまず規模によって3つのルートに分かれます。
1. 小規模建築物
2. 中規模建築物
3. 大規模建築物
アバウトすぎましたかね(笑)
ではそれぞれをルートと呼び変えて、1つずつ説明していきます!
1.小規模建築物(ルート1)
高さ20m以下のRC造や、13m以下の木造、3階以下の組積造等の建築物が対象となります。鉄骨に関しては高さが13m以下で延べ面積500㎡以下かつ『3階の6mスパン以下又は、2階の12mスパン以下』の建築物が対象です。
このルートに適用されれば極端な構造でない限り、ルート2やルート3のような難しい確認作業は特に必要としません。ただこのルートに適用できなかった場合はルート2へ、それでも適用できない場合はルート3へと移行していきます。
2.中規模建築物(ルート2)
ルート2では高さ31m以下の全ての建築物(ルート1に適用するものを除く)が対象になっています。
対象の建築物はここで、許容応力度等計算を行い適用するかどうか確認しないといけません。
内容としては、
・許容応力度計算
一次設計の計算と同じで、再確認になります。
・層間変形角が1/200(変形により建築物に著しい損傷が生じる恐れのない場合は1/120)以内
層間変形角は地震によって各階に生じる水平方向の変形の大きさの事をいいます。
垂直な壁が地震によって傾いた時の距離(σ:シグマ)をその階の高さ(h)で割った際に層間変形角(θ:シータ)が出ます。
式: σ / h = θ ≦ 1 / 200
・各階の剛性率が0.6以上
剛性率は地震に対しての変形のし難さ、つまり建築物の硬さの事です。建築物全体が硬ければまだ良いですが、1階が駐車場等で壁が少なく上階との硬さに大きな差があった場合そこからポキッと折れてしまうのは想像できますよね。その各階ごとの硬さを比率で確認します。
式: 各階の層間変形角の逆数 / 当該建築物についての相加平均 = 剛性率 ≧ 0.6
・各階の偏心率が0.15以下
建築物には重心と剛心(地震に耐えるときに働く力の中心)があります。この心同士の位置が大きく離れている場合、振動や建築物のねじれが発生しやすくなります。いかに心同士の距離を縮めるのかがポイントです。
式: 偏心距離 / 弾力半径 = 偏心率 ≦ 0.15
・塔状比が4以下
塔状比は建築物の形状を確認するものです。細くて高い建築物よりも、太くて低い建築物の方が地震に強いのはイメージできますよね?それを建築物の高さと幅を用いて比率化し確認します。
式: h(高さ)/ D(幅)= 塔状比 ≦ 4
3.大規模建築物(ルート3)
ルート3では高さ31mを超える建築物とルート1,2が適用されなかった建築物が対象となります。
確認する内容としては、
・必要保有水平耐力よりも保有水平耐力が高いのか確かめる
・塔状比が4を超えていた場合の安全な根拠を確認
上記の二つです
以上の3つのルートがどれにも当てはまらない場合、設計をすべてやり直して再度確認を行わないといけません。
今回は以上です。
大臣が決めた数値も多くありそれを全て紹介すると恐ろしい時間になりますので割愛しました。
実際に一級建築士試験では一次試験で詳しく計算したりすることはありませんが、二次試験では実際に問われてくる場合があります。
もう頭パンパンです(笑)
耐震設計については以上となります!
Part.3までお付き合いありがとうございます。
建築部 新城でした!