なかがみ地域包括センター新築工事より – 株式会社東恩納組

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2021年7月6日建築部

なかがみ地域包括センター新築工事より

皆さんこんにちは、建築部の富田です。

今回は、防火区画について掲載します。


↑断面図

防火区画とは、火災が発生した際に、拡大被害を最小限に抑えるために設けられる区画のことで、建築基準法施工令第112条によって定められています。

防火性能の高い壁や床、または防火設備などを使って建物を一定の区画に区切ることで、炎を区画内に封じ込めることができるので、避難経路の確保や避難までの時間を確保することができます。

防火区画が適用されるのは、全ての建物ではなく耐火建築物又は準耐火建築物に該当する建物だけですので、住宅よりもマンションや公共・商業施設など大規模な建築物に適用されるケースが多いです。

※耐火建築物とは、建物の主要構造部(柱、梁、床、屋根、壁、階段など)に耐火性能のある材質などが使用されている建物のことです。一般的には、鉄筋コンクリート造の建物や耐火被覆を施した鉄骨造などが当てはまります。


↑耐火被覆吹き付け状況

準耐火建築物は、耐火建築物の条件を満たしていないが、それに準じた耐火性能がある建物のことで、耐火建築物が最大3時間に対して準耐火建築物は最大1時間火災による倒壊を防ぐことができます。

防火区画は、以下の4種類に分類されます。

【面積区画】

一定の面積以内ごとに 耐火構造の壁や床、特定防火設備 などで区画を区切ることで、火災による被害を最小に留める目的において設置される区画のことです。

この区画は建物の種類によって区画する面積が変わっており、
・耐火建築物→1500㎡以内ごとに区画する
・任意の準耐火建築物(法令の規定により義務付けられたものでなく、建築する者が任意に準耐火としたもの)→1500㎡以内に区画する
・義務の準耐火建築物(法令の規定により義務付けられたもの)→500~1000㎡以内に区画する
となります。

また、この区画はスプリンクラーなどの自動消火設備を設置することで区画する面積を緩和することができるという規定もあるようです。

【高層階区画】

高層階で火災が発生してしまうとスムーズな消火活動や避難を行うことができなくなるので、それを防ぐために設置されるのがこの区画です。

建物の11階以上の部分に設けられ、原則として100㎡以内ごとに耐火構造の壁や床で区切らなければいけません。

ただし、内装仕上げが、
・準不燃材料である場合は、200㎡ごとに区画
・不燃材料である場合は、500㎡ごとに区画
など内装仕上げの材料などによって、求められる基準が変わります。

【竪穴区画】

この区画は、火災の際の炎が竪穴部分を経由して上下階に拡大するのを防ぐために設けられます。

そもそも竪穴部分というのは、階段、吹き抜け、ダクトスペース、エレベーターシャフト、メゾネット住戸のことを指しており、基本的に他の階とつながっている空間の事です。

火災時の上階への延焼や煙の拡大は非常に早いのでこの区画による対応は防火上重要なことといえます。

この区画は地下階または3階以上の階に居室がある建物に適用され、該当部分を耐火構造または準耐火構造の壁や床、防火設備で区画しなければいけません。

ですが、階数が3以下で延べ面積が200㎡以下の一戸建て住宅や、用途上区画するのが難しい劇場や映画館などの建物などは対象から除外される場合があります。

【異種用途区画】

この区画は同じ建物の中に違う用途が存在している場合に設けられる区画です。

具体的にいうと、病院やデパートなどの複合施設は、同じ建物でも利用者や利用時間、管理形態がそれぞれ異なるので火災が起きた際に気づくのが遅れる場合があります。そういう場合の被害拡大を防ぐためにこの区画が設けられています。

 

ここまで防火区画について説明しましたが、今回はここまでとさせていただきます。

以上、建築部 富田でした。