建築が始まる目印 遣り方とは?
皆さんこんにちは!建築部 積算課 新城です。
今現在所属している『座間味村歴史文化・健康づく拠点整備施設建築工事』で遣り方(やりかた)を行いましたので、それについて少し書いていきます。
遣り方とは、敷地内に建物の位置を出す作業のことです。僕ら現場監督が現場で最初におこなう作業になります。
上記の写真に、地面に刺さった木の棒があります。空き地等で見たことないですか?それが遣り方です。形は多々ありますが僕らが出した遣り方を基準に説明していきます。
・まず遣り方とは何なのか?
建物には通り芯という図面のみに表記された線があるのですが、この通り芯は基本的に柱、壁の中心を通り一直線で建物を分断するように書かれています。役割としては、「この線から○○㎜に壁がある」といったように全ての基準となる線として使われるので、非常に大事な線です。その線を現場に表したのが遣り方です。木杭の上には釘が挿してあるのですが、その釘が通り芯の交点を表していて、交点同士を糸で結ぶことによりその糸自体が通り芯になります。
基礎や杭の位置はその糸を基準に出せます。
次に名称についてですが、単語には全て『水』が付きます。この『水』は水平の水で、地面に対し水平という意味になります。それをふまえた上で、
・水平に対し杭を打つから『水杭』。
・水平に糸を張るので『水糸』
と名称がついています。
多くは、水杭に対し『水貫』を取り付けるのですが規模が大きいので今回は付けていません。ちなみに『貫』とは建築では、垂直の部材に通す水平の部材のことで、木造で多くみられる部材です。
他にも
・逃げ・・・アスファルトや縁石に通り芯の延長線をマーキングすること。(水杭の位置が歪んでもこれを使って直すことができます。)
等の用語もありますので覚えていた方がいいでしょう。
次に、施工の手順ですが、
- 敷地境界が図面通りかの確認 (距離、角度等)
- 敷地境界に基本となる位置を設定し、そこから距離と角度で建物の基本となる位置を出す。
- 建物の基本の位置にトランシットをセットし、X軸、Y軸を出す。その際に逃げと距離を測ってほかの通りも出します。
4.各通りの交点にトランシットをセットし角度と距離を使いそれぞれの交点にズレが無いかチェックします。
5.釘に水糸を這わせる。
以上で遣り方は終了になります。また、交点を出す際には、
- ±5㎜程度の位置に水杭を打つ
- レベルを確認し、水杭の高さを揃える。
- 水杭の上に正確な交点の位置を出し、釘を打ち込む。
と、交点がわかり次第すぐに打ち込んでいきます。
その際に注意として、
・トランシットの設置回数はなるべく少なく(回数が多いとそれだけ誤差が出る。)
・角度の確認は距離の長い方を基準にする。(角度は基点から外に広がっていくため、短い距離では小さなズレでも距離を延ばせば大きなズレになる。)
・水糸はキツく這わせる。
・水杭に強い衝撃を与えない。
・近くに大型車両を走らせない。
といった上記の項目に気を付けなければなりません。
以上で今回は終わりたいと思います。僕は遣り方を街中で見かけたときに、今からどんな建物が建つのかワクワクします。今回のブログを参考に街中で探してみてはいかがですか?
建築部積算課 新城でした!